指揮者からのコメント

結成式ご苦労様でした。今年も皆さんと一緒にリードの素晴らしい音楽を演奏できて大変嬉しく思います。
今年もきっと感動のドラマが待っていることと思います。本番までどうかよろしくお願いします。

さて、今年の第一部は「リードのアレンジ作品」という企画で楽しい曲が沢山あります。有名な曲から知らない曲まで盛り沢山です。お願いしたいことはとにかく次回の練習までに良くおさらいしてきて欲しいということです。合奏では曲数が多いので結構スピードを上げてやると思います。そういう意味からも今回は特に合奏でおさらいしている時間はありません。皆さんの奮起に期待します。

●「ローシオの行列」作品9 トゥリーナ作曲/A. リード編曲 について(レコード解説より)

作曲者ホアキン・トゥリーナ(1882−1949)はスペインの人で、マドリードとバリで学ぴ、作曲家としてのほかにピアニスト及び音楽評論家としても活躍した。作曲では、オペラこそ書かなかったものの多方面にわたる作品を残した。それらは、近代フランス音楽の影響を受けながらも、スペイン情緒の豊かなものになっている。それに加えてトゥリーナは、低調だったスペインのオーケストラ曲に大きな刺激を与える曲も書いたのだった。このようなトゥリーナの特徴は「ローシオの行列」でも認められる。
 これは交響詩とされていて、トゥリーナのもっとも初期のオーケストラ曲で1912年に作曲された。そしてこの曲は、「祭り」を扱った第1部と、「行列」と題された第2部とからなる。ただし、この二つの部分は、互に明確に切りはなされているわけではない。その第1部は、まずアレグロ・ヴィヴォで強烈にはじまり、大体において賑やかにすすむが、なかほどでは、テンポを落としておだやかになる。この第1部は、自由に拡大した3部形式をとる。それから切れめなくつづく第2部は、やはり自由な3部形式をとっていて、行進曲に近いが、第1部より総体的にテンポはおそく、おだやかである。そして、フルートを活躍させているのが目立つ。ただし、最後には大きな起伏感をおく。(門馬直美)

【補足1、スペインの音楽について】

トゥリーナはパリ留学中には作曲をかの有名なダンディに師事しています。また、ドビュッシーやラベル、デュカス等の大作曲家からもいろいろアドバイスを受けたそうです。実際「ローシオの行列」でも曲の途中、練習番号「B」や「H」はドビュッシーの小組曲に本当によく似ています。

ところで、スペインの音楽といえばすぐに頭に思い浮かぶのが、「ジプシー音楽」、「フラメンコ」、「ボレロ」などで、いわゆるギターの情熱的な四分の三拍子の音楽でしょうか。
また、スペインの作曲家というと、アルベニス、グラナドス、吹奏楽でも時々お世話になるファリャ、演奏家では、ヴァイオリンのサラサーテ(チゴイネルワイゼンの作曲で有名)、チェロのカザルス(お茶の水にホールまであり超有名人)、盲目のギタリスト・ロドリーゴ(アランフェス協奏曲はあまりにも有名)などでしょうか。

このようにいわゆる私たちの知っているスペインの音楽とは、音楽史上では20世紀初頭の「スペイン国民楽派」と呼ばれるもので、トゥリーナもその仲間の一人ということになります。この楽派は、当時世界のクラシック音楽界に多大な影響を及ぼした、ドビュッシーやラベルに代表されるフランス「印象主義」の音楽から大きな影響を受けて発展していきました。

当時、ヨーロッパの音楽はすでにワーグナーで調性音楽の最高を極めていました。しかしその後はワーグナー自身も完成したはずの機能和声を崩壊する実験をしていました。いわゆるこの「機能和声の崩壊」と「民族意識の台頭」が渾沌とした20世紀音楽の始まりを意味しました。音楽も文化の一つです。当然その時代時代を反映したものとなります。

【補足2、いろんな異文化に接しよう】

勉強不足でした。なんと良く調べてみると昨年スペイン王立セヴィリア交響楽団が来日して、オーケストラで「ローシオの行列」を演奏していました。皆でもっとスペインの音楽について情報を交換しましょう。

どうしても日本人は西洋音楽が苦手です。(大体は皆リズム音痴ですから安心して下さい。)二拍子のマーチ、三拍子のワルツ、特にポピュラーなリズムになるといつもリード先生に違うと言われて叱られています。しかし悔しいからと言って、だったら日本音楽が何か得意かというと全然何も出来ないのが哀しい現状です。一体私たち日本人とはどんな民族なんでしょうね。それは横に置いといて、練習しても上手くならない人の原因の60%はリズムに原因しています。音は12音しかないのでとても簡単です。リズムの組み合わせは無限です。いろんな異文化のリズムに果敢にチャレンジしましょう。

そういう意味で今回の「音の輪」はやりますよ。イギリスのマーチ、神秘和声を追及したロシアのピアノ曲、情熱のスペイン音楽、ハンガリー人の書いたウイーンのオペレッタ、そのウイーンの大先輩シュトラウスのポルカ、そして吹奏楽の頂点を極めたA.リードの最新作と最高傑作。これで前売り1000円は安い!?

とにかく先日の結成式でも分かつたことですが、譜面は簡単でも曲が雑多でいろいろなことをやるということはとにかく疲れます。大変なことです。

【結論】
とりとめもなく書いてしまいましたが、とにかく私の言いたいのは一言、「個人練習をお願いしまーす。」ということに尽きます。でもこれぞ「新世紀への挑戦」の第一歩ということです。

2002年1月9日 伊藤透

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1月26日土曜日 第2回練習 幸市民館

指揮者から一言 No,2 「春はもうじき !!」

第2回目の練習ご苦労様でした。
悪天候で帰りの足の便が心配されましたが、皆さん何とか無事に帰宅できたようで安心しました。

さて、練習の方ですが、「ローシオの行列」と「第三交響曲」がメインとなりました。
合奏していて感じたことは、結構練習してきている人(パート)とそうでない人(パート)との差です。
まだ第二回目の練習なのにそういうことを強く感じたというのは、やはり曲の難易度が高いという事に理由があると思います。練習に参加できなかった人はどうなのでしょうか。

それにしても小品も大変です。曲をどのように表現するかということは読めるのですが、なんといっても曲数が多いので慣れておかないとケアレスミスを出してしまいます。合奏練習では出来るだけ通し練習の回数を増やすようにしたいと思っています。

次回の練習では今回出来なかった、「雷鳴と稲妻」、「第7組曲」、「常動曲」を最初にやってから、「ローシオ」の後半部分と「第三交響曲」の全体をやります。ぜひ個人練習をしてきて下さい。

●お願い
音の輪コンサートの性格上、いろんなところからいろんな方が参加しています。これはこれでとても面白いことなのですが、どうしても人によってはうまくコミュニケーションが出来ないで終わってしまうケースもあります。プロと違ってアマチュアの場合はこのことが音楽上プラスに作用するということは少ないと思います。合奏では音の出し方、音質の方向性、音程の取り方、バランス感覚、曲の表現等に統一性を持たせていかないとなかなか人に聴かせる音楽を作り上げていくことはできません。
そこで、お互いの信頼感を作り上げていく意味でパート練習は重要な意味を持って来ると思います。合奏では出来ない個々の楽器内での細かな約束事、音や音程の確認、ブレスの確認、変え指などの技術面の情報交換や練習後のお茶(ちゃけ)を飲みながらのざっくばらんな意見交換などその効果は絶大です。
パートリーダーには御難儀かけますが、どうかそれぞれのパート「パート練習」を企画していただき「音の輪」を盛り上げていって欲しいと思います。

練習の時も言いましたが、今年は特に私も「欠席者が多い」とか、「練習してきていない」とか、「雪が降ってきそうだ」などと小言を言わないで、その時出来る最もベストな合奏練習をしていくつもりでいます。
仕事の忙しい人、家庭が忙しい人、遠方から来られる人、いろいろな方のためにリード/音の輪コンサートが最高の思いでの一つとなれるよう頑張っていきましょう。
「今年の音の輪は何か違った。」と言われるような本番にしたいと願っています。

次回の練習まで風邪などひかぬようくれぐれも御自愛下さい。
来週はもう「豆まき」です。

2002年1月28日 伊藤透

●追伸
私の郷土秋田には観光で有名になった「なまはげ」という行事があります。
これは特に秋田だけに限らず日本海側ではあちこちにある行事で、NHKの大河ドラマ「加賀百万石」の故郷北陸地方には「あまめはぎ」という行事が今でもあちこちに残っています。
「なまはげ」と「あまめはぎ」よく似ていますね。
どちらも主役は「鬼」で、「あまめはぎ」の「あまめ」とは冬に囲炉裏やコタツにばかりあたっていて出来るマメ(豆)「イボ」で、それを鬼がはぎ取るというのです。要するに、春がもう来たのに寒いと言って仕事をサボっていては鬼が来ますよ、というような意味です。
しかし秋田の「なまはげ」は本当にこわそうな大男が演じますが、北陸では子供がやる場合が多いようです。「あまめはぎ様ごーざったー」と童歌を歌いながら町内を廻って歩く大変素朴な行事です。
それにしても、節分の豆まきといい「鬼」は人間に都合よく利用されて大忙しです。ご苦労様です。

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